答を示している。これは、lcbに伴い浮面心が前方に移動し縦揺れ中心が前方に移動したためだと考えられる。一方、原型船型からlcbを後方に移動したCASE4は、船首部の復原力減少による縦揺れの増加により原型船型やCASE5よりも上下加速度の応答が大きくなっている。lcbの選定は船体の重心が決定されればL/Bの選定よりは自由度は小さくなるが、lcbの後方への少しの移動で上下加速度応答が悪化する傾向があるため、重心位置の正確な把握とlcbの決定は高速艇の初期計画上重要な課題となる。特に、最近のウォータジェット船では船尾寄りのlcbとなりがちなため注意を要する。
(C)船底傾斜角シリーズ
図3.1.2)-21〜図3.1.2)-23に船底傾斜角シリーズの数値計算結果を示す。図3.1.2)-21〜図3.1.2)-23において原型船型から船底傾斜角を変更したCASE6及びCASE7では何れも上下加速度の応答が原型船型よりも悪化している。これは、原型船型よりも船底傾斜角を立てたCASE6では船体上下方向の減衰力が原型船型に比して小さく、逆に原型船型よりも船底傾斜角を痩せたCASE7では波浪外力の上下方向成分が原型船型に比して大きくなり縦揺れなどの船体運動が大きくなるためだと推定される。船底傾斜角は何度が適切かという問題はこれまでも色々議論されてきているが、実際の線図作成にあたっては、船底傾斜角にも注意を払いながら全体的なバランスでフレームラインを決定しているのが実状である。
(2)横揺れのシリーズ計算結果と評価
図3.1.2)-24〜図3.1.2)-26に原型船型とシリーズ船型の不規則波中横揺れ計算結果を示す。尚、本計算にはチャイン材による横揺れ減衰効果は船型主要目による比較のため考慮していない。
(a)L/Bシリーズ図3.1.2)-24にL/Bシリーズの数値計算結果を示す。
本図より、横揺れ角は平均波周期が約4.5秒以下ではL/Bが大きくなるほど小さく、4.5秒を越える周期においてはL/Bにしたがって大きくなっている。これらの原因として横揺れに関する減衰力の影響が考えられ、L/Bが小さく相対的に幅広の船型ではフレームライン形状が丸型船型に近づく傾向があり減衰力が小さく同調時の横揺れ角度が大きくなるものと推定される。
(b)lcbシリーズ図3.1.2)-25にlcbシリーズの数値計算結果を示す。
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